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第48回 ニッサン チェリー・クーペ1200X1-R (KPE10型)1973年03月 |
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軽量ボディに80PSでミニクーパー並の駿足ぶり。 日産初の記念すべきFF乗用車となったのが、新世代のシビルカーとして開発されたチェリーだ。 カプセルシェイプの2ドアセダンと4ドアセダンが70年9月に発表され、その1年後にプレーンバックスタイルの独創的なボディを身にまとったクーぺモデルが投入された。 スタイリングは、セダン以上に独創的で、フロントビューはセダンと回じデザインだが、リアのオーバーハングを延ばし、個性的なアイラインウインドーとマッハラインで、ひと味違うクーペモデルに仕立てた。 エンジンはサニーから移植された4気筒OHVのA10型とA12型を積む。シングルキャブ仕様のA10型は、988ccの排気詰で58PS/6000rpmを発生。A12型は2タイプが用意され、シングルキャブ仕様が68PS/6000rpmの性能だ。 ホットバージョンのX‐1にはSUツインキャブが装着され、こちらは1171ccの排気量で80PS/6400rpm、9.8kgm/4400rpmを発揮する。 ちなみにエンジンは横置きで、すべてレギュラーガソリン仕様だった。 このクーぺX‐1をベースに作られたのが、73年3月に登場したクーぺX1-Rだ。 エンジンに変更はないが、当時流行のFRP製オーバーフェンダーを装者し、足元も165-70HR13ラジアルタイヤで着飾っている。 インテリアもスパルタンムードにあふれ、ハトメボタンのバケットシートや本革巻きステアリングを装備した。 クーぺX1-Rは、星野一義らのドライブにより、サーキットでも破竹の快進撃を続けた。
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主要諸元 ニッサン チェリー・クーペ1200X1-R |
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●モータースポーツ マイナーツーリソグレースで活躍したX1-R。同じニッサンのサニーB110型がFRだったのに対し、こちらはFF方式にLSDを組み込んで、常勝サニーと互角に戦った。 |
エンジン 種類/型式 ボアxストローク 総排気量 圧縮比 最高出力 最大トルク 燃料供給装置 燃料タンク容量 トランスミッション 型式 変速比 1/2/3 4/5/R 最終減速比 シャシ ステアリング サスペンション 前 後 ブレーキ 前 後 タイヤ ディメンション&ウェイト 全長x全幅x全高 ホイールベース トレッド 前/後 最低地上高 室内長x幅x高 車両重量 乗車定員 車両価格(当時) 63.3万円 |
直4OHV‐A12 73.0x70.0mm 1171cc 9.0 80ps/6400rpm 9.8kgm/4400rpm SUツインキャプ 36リットル 4MT 3.014/1.973/1.384 1.000/−−−/3.358 4.067 R&P ストラット/コイル トレーリング/コイル ディスク LTドラム ]65/70HR13 3690x1550x1310mm 2335mm 1270/1235mm ]95mm 1560x1270×1060mm 645kg 5名 |
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●エピソード 日産初のFF方式を採用 当時、FF車には多くの人々が不安を抱いていたが、日産初のFF車となったチェリーは、1000〜1200ccながらFR1500クラスに匹敵する居住性と、優れた動力性能により、大ヒットとなった。サ二ー用のA型エンジンの下にミッションを置く横置きの手法はミ二の構造を参考にしたものだが、サ二ー等の既存パーツをそのまま流用できるようにした点がうまい。 発売前に新車への関心を高めさせるティザーキャンペーンのはしりでもある。 ミニクーパーに匹敵する高性能エンジン スポーツバージョンのX1用に積まれた1171ccのA12型直列4気筒OHVはSUツインキャプにより、最高出力80PS/6400rpm、最大トルク9.8kgm/4400rpmを発生。最高速160km/h、0-400m加速16.8秒、パワーウェイトレシオ8.1kg/PSを誇った。この数値は当時の国産では群を抜いだものだったが、世界的に見てもFFの元祖で当時もっとも人気を博した英国のミニクーパー(1300cc)に匹敵するものである。 |