日本のスポーツ車 1960〜1990



第93回 マツダ サバンナRX-7GT
(FC3S型)1985年9月

最高速=231.88km/h  0-400m=14.62秒(テスト値)



世界で唯一、RE搭載のピュアスポーツカー
 初代のRX7は78年にデビューし、当時斬新なスタイルは若者のハートを捉えたに違いない。
もともとはロータリー・エンジン専用に開発された、マツダを代表する本格スポーツカーとして位置付けられている。
それから7年という長期の間、ほとんど大きな変更もなく、絶大な人気を集めた。
時流は低公害のエンジンを躍起になって作っていた頃で、スポーツカーと言うカテゴリーが、世の中から忘れられていだだけに、若者には強いインパクトを与えた。
 2代目は85年9月にデビューを果たし、よりスポーツ度の高いクルマ造りが中心となっていた。
ポディの形状は、2ドアクーペと先代のコンセプトを受け継いでいだが、初代のRX-7に比べると全長X全幅X全高:4310x1690x1270mmと立派な体格が備わっていた。
基本的にコンパクトなエンジン、ロータリーを搭載することでポンネットはかなり低く抑えられ、ヘッドライトは得意のリトラクタブルヘッドライトが採用されている。
ポディの剛性もかなりのレベルまて煮詰められ、特にキャノピー付近は先代に比べると多少は閉鎖的な雰囲気でまとめられていた。
フェンダーのラインもプリスタータイプとするなど、ディテール面でもこれまでにない試みが多く見られた。
 初期の頃は、クローズドポディだけのラインアップも、モデルチェンジのサイクルが長いRX-7は途中にオープンカーが追加される。
このカブリオレは、87年8月にラインアップされ、オープン/タルガ/クローズドの3形態が可能になるユニークなオープンカーであった。
 RX-7に用意されていたパワーソースは13B型。
排気量アップの難しいロータリーはインタークーラー付きターポエンジンを全車に採用することで、排気量アップに見合うパワ一を対応させていた。
初代は12A型ロータリーエンジンで始まり、最終型では12A型のターポエンジンまで発展してきたが、今回13Bターポの185PS/6500rpm、25.0kgm/3500rpm仕様が搭載されて、パワー的にも十分にライバル達と大刀打ちできるスペックが備えられた。
 もちろん、13B型ロータリーエンジンは、軽量かつコンパクトであるのは12A型と同じで、その利点を生かしてエンジンルームの後方、つまり室内の墳目のバルクヘッド側に寄せた位置にマウントし重量配分的に有利なフロント・ミッドシップを採用していた。
 エンジンのパワーは、その後にターピンの特性を向上させて、マイナーチェンジの時にパワーアップがはかられている。
89年3月以降は、13Bターポエンジンは205PS/6500rpm、27.5kgm/3500rpmへ変わっている。
 サバンナはスポーツカーと言う性格上、どうしても操る楽しみを失くしてはならない。
そこでマツダは2代目RX-7のサスペンションを積極的にコントロールしようと、新たに開発したマルチリンクサスベンションをリアに与えたのである。
リアのトーイン/トーアウトは、サスベンションの形状とコンプライアンスによってどちらかに決まってしまう。
RX-7に採用されたマルチリンクには、3点支持のトーコントロールハブを持つことで、ハブは固定され入カ荷重に応じてトレーリングアームのブッシュコンプライアンスの働きで制御される。この入カ荷重は0.4Gを境にして、トーイン/トーアウトの制御が行われる。
 つまり、回頭性より安全性を優先する領域では後輪がトーインを向く、それを越すと後給はトーアウトへと制御される仕組みを取り入れていたのだ。
 RX-7に与えられたハイパワーや素晴らしい操縦性を100%生かすために、ブレーキの制動力も余裕の性能が要求された。
まずブレーキパッドの面積を広げ、それに見合ったキャリパーの開発だった。
RX-7は、対向4ピストンアルミ製キャリパーとベンチレーテッドディスクを組み合わせ、その要望に十分応えて〈れた。
これはその後のスカイラインGT-RやフェアレディZのブレーキにも、大きな影響を与えている。




全長4310mm、全幅1690mmと堂々たるポディに生まれ変わった2代目RX-7。
初代RX-7に比ぺて全体的にポディは大きく、重厚感の溢れるシルエットとなった。
13Bターボ・インタクーラー付き。RX-7の全バージョンにこのエンジンが積まれた。デビュー当時は185PSだったが、89年3月以降は205PSへ出力アップされた。

●エピソード
米国でポルシェ944と同格
米国市場では同じ国産のフェアレディZやスープラ、さらにポルシェ944や924がライパルとなる。発売当初から米国ではポルシェよりも評価が高く、事実、ポルシェ924S(日本では500万円以上で売られている)と同じ位の価格で売られていたという。85年当時最高グレードのGTリミテッドスペシャルエディションさえ360万円だったわが国では考えられないことだ。

●当時のインプレッション
RX-7の限定仕様”∞”(アンフィニ)は印象深い。特に4代目のアンフィニはピレリP-ZEROを標準とすることで、ノーマル比で10PS/1.0kgmアップの215PS/28.0kgmの工ンジン性能をフルに生かす運動能カを身につけていた。アジャスト機能の付いたフルバケットシー卜は完全な2シーターで、ホールド性は高くポジションも取り易くなっていて、ドライビングの感覚はまさに”ハード”。まさにスポーツカーそのものだつた。


主要諸元 マツダ サバンナRX-7GT
 エンジン 
    種類/型式
    ボアxストローク
    総排気量
    圧縮比
    最高出力
    最大トルク
    燃料供給装置
    燃料タンク容量
 トランスミッション
    型式
    変速比 1/2/3
          4/5/R
    最終減速比
 シャシ
    ステアリング
    サスペンション 前
              後
    ブレーキ      前
              後
    タイヤ
 ディメンション&ウェイト
    全長x全幅x全高
    ホイールベース
    トレッド   前/後
    最低地上高
    室内長x幅x高
    車両重量
    乗車定員
 車両価格(当時)
         303.8万円

直2・ロータリーターボ/13B

654ccx2
8.5
185PS/6500rpm
25.0kgm/3500rpm
EGI
63リットル

5MT
3.483/2.015/1.391
1.000/0.806/3.288
4.100

R&P{パワー)
ストラット/コイル
マルチリンク/コイル
Vディスク
Vディスク
205/60R15 89H

4310x1690x1270mm
2430mm
1450/1440mm
150mm
1485x1410x1025mm
1280kg
4名

●カタログ

85年に登場した2代目RX-7は、86年、アメリカで、1986年インポート・カー・オプ・ザ・イヤーを受賞した。アメリカではポルシェのよきライバルと目されていた。

●バリエーション
1987年8月 RX-7カブリオレ

上級モデルのGTリミテッドをベースに、オープンカーが誕生。ぺースが最上級車ゆえにシートは本革仕様、さらに高級オーディオが装備され、ドライバー&助手席のヘッド部にもスピーカーが埋め込まれている。価格=372万円(5速)
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