日本のスポーツ車 1960〜1990



第102回 トヨタ カローラレビンGT-Z
(AE92型)1987年5月

最高速208.70km/h 0-400m加速15.66秒(テスト値)


FF化も過給エンジンでスポーツ性確保。

 カローラ/スプリンターはAE92型の登場で、スポーティ・モデルであるレピン/トレノのユーザーが少なからず戸惑いを党えたことは確かだ。その端的な現象tとして中古車市場における先代AE86型の人気上昇があげられる。
レピン/トレノに限って新型のAE92型よりもAE86型の価格が高値で推移していた時期もあったのだ。
1987年5月のフルモデルチェンジでAE92型となったレピン/トレノは、それまでのFR方式からFF方式となり、大きな転換を追られることになった。
スタイリングも、AE86型には2ドア・ノッチバツク・クーべと3ドア・ハッチバックがあったが、AE92型では、”ミニ・ソアラ”のような2ドアクーぺのみとなってしまった。
 スポーティ・モデルは1600ccDOHC16バルブ+スーパーチャージャーの4A-GZE型を搭載するGT-Zだ。
GT-Zは145PS/19kgmのパワー/トルクで、最高遠208.7km/h、0→100m加速も8秒以下を叩き出す駿足クーぺだった。
このスぺックは当時のトヨタスポーツ路線の中ではソアラ/スープラの7M-G勢に次ぐ好タイムだ。
一方のGT-APEXは120PS/14.5kgmを持ち、4ATで192.51km/hの最高遠と11.44秒の0→100m加速をマークしていた。
 89年8月のマイナーチェンジで4A-GZE型は、リッター100PSを達成したシピック/CR-XのVTECをせせら笑うかのように165PS/21kgmにパワーアップしている。
この165PS仕様のエンジンは、マイナーチェンジ前のようにレッドゾーン付近(6000rpm以上)でアタマ打ちとなることもなく、トップエンドまでスムーズな加速性と1600ccにしてはゆとりのあるパワーフィールを示している。
GT-APEjX用の4AーGE型も20PS/0.5kgmアップの140PS/15kgmとされている。
こういったエンジンのリファインなどは、トヨタのテクノロジーのぷところの深さを感じるとともに、4A-Gユ二ットのポテンシヤルの高さをうかがい知ることができる好例といえるだろう。
 サスベンションは独立懸架の4輪ストラット・コイルが採用されている。
FFになったことでハンドリングやサスペンション・フィールは、全体的にかなりソフトな味付けとなっているが、かえって万人向けの素直なセッティングとなった。
 モータースポーツではAE92型はチューニングしやすさと供給パーツの豊富さでワークスはもとよりプライベートでも多くのマシンが出場している。
中でもグループA‐ディピジョン3やETC(欧州ツーリングカー選手権)での活躍は目ざましく、88年にはETCで、89年にはディビジョン3のシリーズ・チヤンピオンに輝いている。
ベース車両は過給器付きの4AーGZE型でほなく自然吸気の4AーGE型搭載車で、200PS近い最高出力が引き出されている。
最大のライバルであるVTECシピックを完全に押さえたといえるであろう。



運転席回りのデサインはセダンとは全くの別物だ。
GTZはアナログメーターだけとなっており、油圧計と電圧計も備える。
当初は145PSの4A-GZEも2年後のMCで165PSに。
無鉛プレミアムを使い、圧縮比を上げることでホンダのB16(VTEC)に対抗した。
カローラ全体に言えることだが、このFMCでスタイルはミニソ
アラ化。レビンはノッチパックのクーペのみとなる。

●モータースポーツ
89年のグループAでは宿敵シビックSi を20ポイント近く離してレビン(NA)が茂本和男、木幡栄両選手のドライピングによりクラス優勝を果たした。
つづく90年のシリーズでもレビンはクラス優勝。
グループAのJTC-3は文宇通りレビンとシビックの一騎打ちである

●エピソード
走り屋の間ではFRのAE86の人気が高まり、中古車市場では高値安定相場が続いた。
FFはどうしてもファミリーカーのイメージであり、「スポーツはFR」であったのである。
彼等が求めたものは単純な逮さではなく、車を操る楽しみだつたのだ。それは後に出たシルビアやユーノスロードスターがFRで成功を納めた事実からも頷ける。
しかしAE92は洗練されたスタイルとトップクラスを誇る充実装備で新たな客層を得た。


主要諸元 トヨタ カローラレビンGT-Z
 エンジン 
    種類/型式
    ボアxストローク
    総排気量
    圧縮比
    最高出力
    最大トルク
    燃料供給装置
    燃料タンク容量
 トランスミッション
    型式
    変速比 1/2/3
          4/5/R
    最終減速比
 シャシ
    ステアリング
    サスペンション 前
              後
    ブレーキ      前
              後
    タイヤ
 ディメンション&ウェイト
    全長x全幅x全高
    ホイールベース
    トレッド   前/後
    最低地上高
    室内長x幅x高
    車両重量
    乗車定員
 車両価格(当時)
         183.3万円

直4DOHC‐S.C/4A-GZE
81.0x77.0mm
1587cc
8.0
145PS/6400rpm
19.0kgm/4400rpm
EFI
50リットル

5MT
3.230/2.045/1.333
0.972/0.820/3.583
3.983

R&P(パワー)
ストラット/コイル
ストラット/コイル
Vディスク
デイスク
195/60R14

4245x1660x1300mm
2430mm
1455/1435mm
150mm
1705x1380x1065mm
1070kg
5名
●バリエーション
1987年5月 スプリンタートレノGT-Z

レビンがミニソアラなら、このトレノはミニスープラのイメージで登場した。パワーユニットはレビンと共通で、最大の違いはリトラクタブルヘッドライトのフロントマスク。レピンよりもスボーティなフォルムで差別化を図った。価絡は185.5万円で、わずかにレビンを上回った。

1987年5月 スプリンタートレノGTアペックス

120PSを6600rpmて発揮するNAの4A-GEを搭載するアペックスば最も豪華な装備が施されたモデルだ。同じ4A-GEのGTに比ぺ25万以上高い169万3000円という価格設定であったが、上級サルーン並みの快適装備を誇った。

1989年5月 カローラレビンGT-Z(165PS)

レビン/トレノのGT−Zに措載される4A-GZEが無鉛プレミアム対応で165PSにパワーアップ。外観ではカラーリングと大型パンパーの採用により全長、全幅が大きくなったのが主な変更点。NAの4A-GEも無鉛プレミアム対応になり、こちらも20PSアップの145PSとなった。



レビン/トレノとも、GTアペックスにはエレクトロニック・デジタルメーターがオプションで選ぶことができた。
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